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【ライブレポ】「音楽」その言葉の意味を感じた演奏…駒込高校和太鼓部「疾風」第13回定期公演

624日…文京区千駄木にある、駒込高校の和太鼓部「疾風」定期公演がありました。
昨年は和楽器インストバンド「Black Long Hair」としてお邪魔して、今年は写真・動画撮影でお邪魔してきました。

今年も圧巻の曲数とクオリティでの演奏…演奏するもする総曲数20曲!!

しかし…今年は曲数やクオリティだけではないものが公演にありました。
このライブレポに書いていきたいと思います。

第1部

幕開けの一曲 『千風一震(せんぷういっしん)』

定期公演の幕開けを飾ったのは千風一震
千の風が一つに震えると書くこの曲、頭を飾るにふさわしいテンポ感と楽器を備えた曲です。

太鼓という大きな音の風の中に、竹やチャッパといった音質の異なる音の風が響き、それらがハーモニーを奏でる。
時に大音量であったり、極端に小さくなったりという様はまさに気ままな風を音で表しているかのようでした。

この曲には長胴太鼓のコンビネーションジャンプが出て来ます。
そのジャンプからは沢山練習してきたことが伺えます。

出だしから、学生らしい清々しい和太鼓を見せてくれました。

リズムで楽しませてくれた『駒込ボルケーノ → ぺんぺん草 → Signal』

次は三曲続けての演奏でした。

駒込ボルケーノは、部族のような歌を取り入れた独特のリズムを持った曲です。
各パートの非常に緻密なリズムを掛け合わせがハーモニーを作り上げます。
太鼓ではあまり見かけない和ではないリズムはワクワクを掻き立てます。

ぺんぺん草は先ほどの曲とは打って変わってハネのテンポを使った太鼓らしい曲です。
しかし、二人という少ない打ち手で演奏する為、緊張しますね。

緊張に負けず、満員の観客の中堂々と演奏する姿は格好良かったです。

Signalは更にリズムが変わってテンツク(ドンツク)のリズムで飛び跳ねるようなテンポ感を持つ曲でノリの良い曲です。ノリやすいテンポが観客の心も温めてくれました。

それぞれリズムが大きく異なる三曲を一つのブロックにまとめる、というのがとても面白いなと感じました。
曲それぞれの特性を考えながら曲順を決めるのって大変です。

太鼓の迫力を感じる曲『サンバ → 大太鼓ソロ → 男祭り~』

このブロックでは、太鼓の迫力を感じさせてくれる曲が揃っていました。

まずはサンバ
和太鼓でサンバという一見変わったこの曲は、踊りのサンバを彷彿とさせるリズムを持ちながら、太鼓のドンッっという響きを感じさせてくれる曲です。
一音一音が確かに身体に響いてくるインパクトがありました。

続いての大太鼓ソロでも、その力強さを見せてくれました。
曲間の舞台転換をしつつの大太鼓ソロ、転換が気にならないほど迫力があり、和太鼓らしいものを見せてくれました。

そしてこのブロックの盛り上がりは男祭りという曲です。
男子部員9で奏でる和太鼓は、音だけでなく空気感までも迫力・破壊力が抜群でした。
技術よりも勢いやパワーを押し出したこの曲は、THE・和太鼓というにふさわしいものでした。

観客との距離がぐっと縮まった『担ぎ桶 → 〆ヘリソロ → Drum John』

第1部も終盤に差し掛かってきたブロックではを見せてくれました。

担ぎ桶という曲では、舞台下に降りてより観客に近い場所で演奏をしていました。
これは、担ぎ桶という身軽さならではですね。
担ぎ桶の軽快な音が観客との距離感を上手く詰めていました

次の曲、〆ヘリソロは一気に観客から引くような感じの曲でした。動きのある担ぎ桶に対して舞台上で静止し、コンパクトに〆太鼓のヘリで音を奏でる
このギャップが面白かったです。
担ぎ桶の軽やかな音とは違う、ヘリの澄んだ音だけが会場に響き渡りました。

そして、〆ヘリソロから一転、Drum Johnという曲では、動きとノリの良さを披露してくれました。
お客さんをあおり、一緒に手拍子したりと、曲によって舞台がガラッと変わり、舞台が活きている様を見せてくれました。

あらゆるエッセンスが詰まった一曲『讃生奔舞』

スライドショーには JavaScript が必要です。

第1部最後の曲は讃生奔舞という曲。
大太鼓、長胴太鼓、担ぎ桶、竹、鳴り物とあらゆる楽器が登場します。
あらゆる楽器が登場する中で、コンパクトかつシャープにまとまっているのがこの曲のすごいところです。

パワーで掛け合わせたなら、音のバランス的には太鼓の音が強く、他の音をかき消してしまう中、良くバランスがとられていました。
また、ハーモニーという意味合いでも、各楽器の音が重なった時に、隠れていた一つの大きな流れや旋律が見えてくるという面白さもありました。

この曲の面白さもさることながら、演奏者の表情というものがとても印象に残っています。
前半すでに10曲近く演奏しているのに、演奏者は皆楽し演奏していました。

曲の表現としての笑顔ではなく、自然体の笑顔、そこに惹きつけられました。

第2部 ゲスト 都立松が谷高校和太鼓部

今年のゲストは都立松が谷高校和太鼓部でした〜
松が谷高校和太鼓部の演奏も何度か拝見しましたが、ワクワクさせてくれるような演奏をしてくれる和太鼓部です。

愉楽繚乱 → 氷沍雨ふる荒漠 → 翔

愉楽繚乱は篠笛の軽やかな音から始まり、軽快なテンポを奏でる曲でした。

繚乱というその名の通り、演奏者が踊るように演奏する姿は素敵でした。

そして、和太鼓の中に篠笛の入るとやはり良いですね。和太鼓を覚えながら篠笛の覚えるって、とても大変なことなのに、しっかり演奏できていて、練習の質が見えるようでした。

氷沍雨ふる荒漠はタイトルのかっこよさにしびれます。

曲は和太鼓の音が持つ質量を感じさせてくれる重厚な印象を受けました。
一曲目とは異なる曲調の曲をしっかりと表現していました。

ただ大きだけの音だと、重厚感や質量よりも音の破壊力がインパクトとしてきてしまうので、この打ち分けが意外に難しいんですよね。

3曲目のは一曲目の曲よりも軽やかで舞うような曲調の曲でした。
鳴り物が舞台上を動きながら演奏することでより軽快さが引き立ちます。

様々な楽器、打ち方をしっかりと習得していて、本当に素晴らしい演奏でした〜

第2部の最後は両校での合同演奏でした。

曲目は、鼓童の曲ですね。

総勢70名程で演奏する迫力はすごかったです。
人数が増えるとグルーヴ感を出すのが難しくなりますが、しっかりとグルーヴ感が出ていました。

流派やグループを超えてのこういった取り組みはとても素晴らしいなと思います。
こういった取り組みから、もっと和楽器界がもっともっと盛り上がって行ったらいいですね〜

 

第3部

新時代の風『疾風 ~新一年生バージョン~』

定期公演最終幕の頭を飾るのは、新入部員による疾風でした。
今年は新入部員が40名弱入部し、その部員のデビューがこの疾風でした。

人前で演奏することの楽しさや難しさ、喜びをここから学んでいくんだなと思うと、自然と応援したくなる演奏でした。

緊張しつつも教わったことをしっかりやろうという気持ちが伝わる演奏を見ていると、初心を思いします。

繰り返すリズムが特徴的な曲『ロンド』

前半で登場した黒や白のきらびやかな衣装とは変わって、この曲の衣装は特徴的です。
MCでは、浴衣をズバズバっと切ったようなと言っていたのですが、正にその通りな感じでした。

曲に合わせて衣装も変わるという太鼓ではあまりない装いに面白さを感じます。

また、この曲はロンド = 回旋曲ということで、同じリズムが繰り返し登場します。
同じリズムを違う色で表現するというのは中々難しいものです。

それらをしっかりと表現しようとする想いの伝わる良い曲でした。

緩急で観客を楽しませる『流葉 → 〆ソロ → 幻舞』

第3部、このブロックでは緩急を感じさせてくれました。

流葉という曲では、名前の通り流れるような音や動きで目でも耳でも楽しめました。
流れるリズムの中で、流されることなく演奏するには意外に難しいものです。
流れると流される違いがしっかりとわかるような曲に仕上がっていました。

 

〆ソロは、第1部のぺんぺん草と同じように二人で演奏するという曲です。
ぺんぺん草と似ている構成のようで、リズムの違いなどがはっきりとわかる一曲でした。
大人数の曲も良いですが、極少人数で披露する曲も緊張感や技量が見えて良いなと思います。

幻舞は沖縄のエイサー太鼓を使用する曲で、ダイナミックな音とリズムを披露してくれました。
エイサー太鼓の豚革が長胴太鼓とは異なる響きを奏で、曲に味を持たせていました。

後半につれ、動きが激しくなっていくのですが、それがとても印象的です。
舞台上で回転する姿はとても華やかです。

独特のインパクトを持つ個性ある曲『Zwei → 縁』

Zwei(ツヴァイ)は2、対を表すドイツ語で、その名の通り、大太鼓を二台配置して2対で大太鼓を打っていました。

シンプルな配置ながらもあまり見ない構成に目を引かれます。曲としても大太鼓が登場する曲にしてはテンポが早く、攻めてくるような曲調に自然と乗せられてしまいます。

曲中のソロパートでは、一人一人の個性が立った演奏を披露していました。迫力を出すソロ、フチなどを取り入れ音に印象を持たせるソロなど、それぞれが映えるようみんなで練習したことがうかがえる一曲でした。

は、バラバラなものがそれぞれの個性をぶつけ合いながらも一つの形に成るという面白い曲です。
曲の中でのぶつかり合いやなどイメージがしっかりと構成されていて、場面がわかりやすく伝わってきます。

メインの三人は複数の太鼓を使用し、技を披露するのですが、粗いながらもそれが迫力を生み、とても良い雰囲気を作っていました。

曲の統一感を円として全てを丸くするのではなく、尖っていても粗くても個性を持ったまま互いを認め一つにしていくという良い曲でした。

フィナーレの飾る神秘的な一曲『Parfait amour 青い月』

定期公演のフィナーレを飾ったのは Parfait amour ~青い月~ という曲。

この曲はこれまでたくさん聞いてきましたが、何度聞いても素晴らしいと感じる一曲です。和太鼓をやっている人間からすると、何故こんな曲が出来上がるんだと思う一曲です。

舞台構成からリズム、テンポ感から音動きに至るまで、既存の和太鼓にはない概念、要素がたくさん詰め込まれています。

それでいて和太鼓の要素もしっかりと残っていて、とても心惹かれる曲です。

動きや仕草に違和感がなくごく自然に、まるでそれが普通である、この空間では当たり前のように見せてくれます。長い時間かけ、とても練習してきたんだということが伺えます。

音、動きの美しさに言葉が出なくなります。

終幕にふさわしい、最高の一曲でした。

アンコール 『疾風』

演奏会といえばあります。アンコール。

アンコールは部活の名前でもある看板曲「疾風」。今日をもって引退する3年生を舞台上のメインに2年生が盛り上げ、お客さんと最後にして最高の一曲・空間を作り上げていました。

部活動という、限られた時間で偶然出会った仲間と何かを成し、かけがえのない時間を過ごすということの素晴らしさを感じさせてくれる素晴らしいアンコールでした。

まとめ 「音楽」という言葉の意味を感じることができた演奏

スライドショーには JavaScript が必要です。

今回の定期公演では、様々な色を持つ曲を演奏する姿からそのレベルの高さを感じました。

一曲一曲のイメージや音を仲間と共有して、それをお客さんへ届ける。
当たり前だけど難しいことがしっかりできていて、地力の高さが見ました。

しかし、それ以上に今回の演奏で感じたものがあります。

それは

楽しそうだな

ということでした。

どの曲も演奏者が皆笑顔、仲間と演奏するということの楽しさが伝わってきました。

それは曲の表現としての笑顔ではなく、演奏者としての素の笑顔。
作られたものでないその表情がとても素晴らしかったです。

音楽、音を楽しむ。その言葉を体現していたなと思います。

関係者という色眼鏡を外しても、素晴らしい演奏会だったと言えます。
ひとりの観客として、演奏者目線としても素敵な時間をもらい、素直に尊敬できる演奏でした。

疾風の皆さん、とても良い時間をありがとうございました。
疾風の今後の活躍にますます期待いたします!!


-----邦楽村からのお知らせ-----
第15回和楽器もくもく会参加者募集中!
日時:2017年10月29日(日) 13:00〜17:00
場所:千駄木交流館(東京メトロ千代田線千駄木駅徒歩5分)
詳細確認・お申し込みは こちら から!

第3回池袋和楽器もくもく会参加者募集中!
日時:2017年11月4日(土) 13:00〜17:00
場所:上池袋コミュニティーセンター7階和室(JR池袋駅徒歩5分)
詳細確認・お申し込みは こちら から!

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